《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第4章 チョコより甘く愛されて
《ゆめside》
依頼人の家を出ると、霊幻さんは繋いだ手を強く握った。
「これでわかっただろう? モブみたいな圧倒的な力がなくても気にすんな。ゆめにはゆめの力のよさがあるんだからな。より詳しく霊の情報を引き出せる。それも個性だ。うまく生かせばいい」
「っ!?」
びっくりして霊幻さんを見上げる。
私が悩んでること、気づいてたの!?
霊幻さんはフッと優しく笑った。
「うちの相談所には、モブもゆめも二人とも必要だからな。『辞めたほうがいいかも』なんて、くだらないことは考えるなよ? 大学卒業するまでは俺の相談所にいてくれ」
「霊幻さん……」
私、相談所にいてもいいんだ。霊幻さんの隣にいてもいいんだ。
泣きそうになってくる。
「お、そうだ。あと、これ」
霊幻さんはスーツの内ポケットから小さな包みを取り出した。私の手に無理やり押し付ける。
「なんですか、これ?」
「プレゼントだよ。ブレスレット。前に詐欺に遭いかけただろ? 俺がやるから、もう変なのには引っかかんな。まあ、俺にはアクセサリーはわからないからな。気に入るかは知らんが」
包みをあけてみると、ゴールドの上品なブレスレットが出てきた。細身で一箇所だけワンポイントに小さな花のモチーフがついている。
「きれい……」
信じられない。霊幻さんからプレゼントをもらえるなんて。
「そんなのでよかったか?」
「はい。霊幻さんが買いに行ったんですか?」
「そりゃ、そうだろ。他に誰が買ってきてくれんだよ」
霊幻さんが一人でアクセサリーを選んでいる姿を思い浮かべて思わず笑ってしまう。似合わなすぎる。だからこそ嬉しい。私のために買いに行ってくれたなんて。
「本当はレストランも予約してあったんだが、間に合わなかったな」
霊幻さんが携帯電話のボタンを押して時間を確認する。