《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第4章 チョコより甘く愛されて
「ゆめ、おまえさっきも悪霊が依頼人にフラレて自殺した映像が視えたとか言ってたな。もしかして霊の取り巻く環境や過去まで視えるのか?」
ゆめは頷いた。
「はい、過去はだいたい視えます。未来もごくたまに視えるときもあります。離れた場所についてもなんとなくわかります。霊だけじゃないです。生きている人でも霊が憑いていれば、その霊を通していろいろ視えたりします」
「…………」
それって、すごくないか……? 軽い霊能力しかないと思ってたのに、ゆめにはそんな才能があったのか。
「霊幻さん?」
「新たなビジネスの匂いがするな……」
「え?」
俺は我に返って咳払いをした。
「い、いや、なんでもない」
「おい、霊幻。ゆめを使って金儲けしようとか考えるなよ」
モブのうしろにいたエクボがすかさずツッコんでくる。
しねーよ。まあ、一瞬オイシイかもと思ったが。
モブは静かにゆめに微笑んだ。
「ゆめさん、ありがとうございました。ゆめさんのおかげで男の霊がいることに気づくことができました」
「え!? わ、私のおかげ!? え? うそ!? え? え?」
慌てるゆめ。
まさか力の強いモブの役に立てるなんて思ってもいなかったんだろう。強くなくても力の使い道はあるってことだ。
モブは俺に視線を戻した。
「僕、もう帰りますね。今日は弟の律が大量のチョコレートを貰って帰ってくるので。毎年食べるのを手伝ってあげるんです」
「お、おう、そうか……。わかった。お疲れ」
モブ、おまえは男としてそれでいいのか? まあ、余計なことはいわないでおくか。
モブが去ったあと、俺は簡単に部屋を片付け、依頼人をベッドに寝かせた。
「ったく、先に料金を貰っておくべきだったな。気絶してるんじゃ、どうしようもない。とんだタダ働きだ。まあ、仕方ないか。ゆめ、帰ろう」
「はい……」
俺はゆめの小さな手をそっと取った。