《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第4章 チョコより甘く愛されて
《霊幻side》
「チッ、もうこんな時間かよ」
携帯電話で時間を確認すると、俺は白い息を吐いた。
空はすっかり暗くなっている。俺とゆめは依頼人の家のまわりを調べていた。外での調査は寒さがこたえる。指先もかじかんで痛いくらいだ。
「ゆめ、大丈夫か? 家の中に入っていてもいいぞ?」
外壁を調べていたゆめが首を振る。
「大丈夫です」
本当かよ。耳も頬も赤いし、震えてるじゃねぇか。
「これ巻いとけ」
俺はマフラーを外すと、ゆめの首にかけた。
「でも霊幻さんも……」
「いいって。おまえが風邪ひいたら困る」
連れてきたのは俺の責任だしな。
「霊幻先生〜! どうですか?」
そのとき、家の窓から依頼人の女性が顔を出した。
俺は手についた汚れを払う。
「えーっと、そうですね。もう少しお待ちください。霊の痕跡をしっかり調べたいので」
にっこり営業スマイルで返すと、
「わかりました! では中で待ってますね!」
寒いせいか依頼人はさっさと顔を引っ込めた。
「さてと……」
俺は改めてあたりを見回す。
おかしい。
原因なんて簡単に見つかると思ったのに、それらしきものがない。建付けも地盤も問題なし。家の中にも音の鳴りそうなものはない。外も静かなもんだ。電気系統もひととおり調べた。近くで工事が行われているわけでもない。
「くそっ、もしかして本当に悪霊がいるんじゃねーだろーな」
だとしたら、詐欺師の俺には手が出せない。除霊なんてできないからな。でもゆめ一人に任せるには心配だ。こいつの霊力はそんなに強くない。なにより危険な目に遭わせたくない。
どうする? 一旦引き上げるか?
考え込んでいると、ゆめが突然俺の腕を掴んだ。