《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第4章 チョコより甘く愛されて
「ええ! 本来バレンタインは女性から男性へチョコを渡しますが、この霊とか相談所では逆です。美しいお客様のあなたに私から特別価格というチョコレートをプレゼントしますよッ!」
キラリンッとウインクをする霊幻さん。
女性の瞳はあっという間にハートになった。
「あ〜ん! さすが霊幻先生〜!! じゃあ、一番高いコースにしちゃいますううぅ!」
「承知しました! 本気のCコースですね!」
霊幻さんがいそいそと料金表をしまう。
なんだかなぁ……。
私は壁にもたれながら、思わずため息をついた。
「おいおい、ゆめ。いきなりキレんなよ?」
横でエクボが囁いてくる。
「キレる? なんで?」
見上げるとエクボはニヤニヤと笑った。
「おまえさん白々しいな。霊幻のヤローが女性客を相手にしてるといつも不機嫌になるくせに」
「不機嫌? 私が? まさか!」
変なこといわないでよ。私が嫉妬してるとでも!?
「今だってかなりイライラしてるだろ?」
「全然! だいたいあのお客さん、彼氏さんがいるみたいだし」
隣のモブくんがこっちを向く。
「ゆめさん、どうしたんですか? エクボに何かされたんですか?」
「え!? あ……ううん! なんでもないよ!」
慌てて首を振る。
純粋なモブくんに余計な心配をかけたくない。
「なら、いいけど……。もしエクボに酷いことされたら除霊するので僕に教えてください」
優しく微笑むモブくん。あぁ、尊い可愛い。
「なんだよ、シゲオ。俺様が悪いってのか? 何もしてねぇぞ!? だいたいゆめが霊幻のことを――」
「エクボ! シッ!」
私はとっさにエクボに手をかざして、霊力をぶつける。
「痛ぇっ! おまえ、何ドサクサに紛れて俺様を除霊しようとしてんだよ!」
エクボが慌てて私の霊力を跳ね返した。
「エクボみたいな強い霊を除霊なんてできるわけないでしょ? モブくんと違って、私にはそんな大きな力はないんだから。せいぜい軽く電流を走らせるくらいだよ。大した痛みでもないのに大袈裟なんだから」
「おいおい、電流を走らせるくらいって、それはそれでタチ悪いな……ったく」
エクボがくるりと空中で回る。