第2章 出会いと恋の始まり
(悪さって......)
ふと視線を感じ顔を向けると、沖田さんと目が合う。
にっこりとほほ笑む沖田さんが口を開いた。
沖田「よくここまで無事で来れましたね」
瑞希「ここまで、送って頂いたので......」
斉藤さんや山崎さんの姿を思い出し告げると、近藤さんが嬉しそうに笑みを浮かべる。
近藤「そうか、良かった。じゃあ帰りは......」
言いかけたその時、襖が大きく開かれた。
ユキ「近藤さーん!お届け物よ♪」
......
近藤さんの提案で、私はユキちゃんと共に変えることになった。
市中を歩きながら、ユキちゃんが眉を寄せていう。
ユキ「新撰組屯所ってほんと、男くさいわよねー」
くんくんと着物の匂いを嗅ぎ、ユキちゃんが息をついた。
瑞希「新撰組......」
(歴史には詳しくないけど、あの有名な人たち......なんだよね)
思わず考え込むと、着物から顔を上げたユキちゃんが閃いたように言う。
ユキ「そうだ、瑞希。少し寄り道していかない?」
そして私はユキちゃんに連れられ、少しだけ寄り道をすることになった。
..........
(ここって......)
私は鼓動を鳴らしながら、ユキちゃんと共にやってきた部屋を見渡す。
瑞希「ユ、ユキちゃん......」
ユキ「あら、遊郭は初めて?」
ユキちゃんが何ということは無いように告げた、その時...。
(え......)
部屋の襖が開き、妖艶な雰囲気をまとった女性が姿を現した。
ユキ「霧里(きりさと)ちゃん、お久しぶり」
霧里「ええ......」
低く掠れた声音に笑みを浮かべると、さらに雰囲気に凄みが増す。
(わあ......綺麗な方)
見惚れる私に、ユキちゃんが紹介をしてくれた。
ユキ「霧里ちゃんは、うちに呉服屋のお得意様なのよ」
霧里「............」
視線を向けた霧里さんが、静かに低く尋ねる。
霧里「どなたでありんすか?」
自己紹介を終えると、霧里さんがふっと息をつく。
霧里「なるほど。不思議な話......」
ユキ「そうでしょ。それにね......」
そうしてユキちゃんと共に、たわいもない話をすることになった。
時折目が合うと微笑む霧里さんに、なぜだか頬がわずかに赤く染まる。