第3章 坂本龍馬編☆第一話♡
何の会話もないまま、龍馬さんがひと気のない道を歩いていく。
胸の奥がむずがゆくなるような感覚に、息をついた。
(なんだろう、この感じ......)
揺れる龍馬さんの髪を見つめながら、私はそっと尋ねる。
瑞希「重く、ないですか?」
するとすぐに、龍馬さんが不機嫌そうに答えた。
龍馬「思いに決まってんだろ」
私の身体をおぶいなおす龍馬さんの仕草に、身体が揺れる。
瑞希「っ......」
龍馬さんはそれ以上文句を言うこともなく、歩き続けてくれた。
(四季に向かってる。送っていってくれるんだ......)
触れる龍馬さんの背中の暖かさを感じながら、思う。
(龍馬さんって、一体どういう人なのかな)
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やがて四季のお店前まで来ると、龍馬さんが私の身体を静かに降ろした。
龍馬「あー、疲れた......」
肩を回す龍馬さんの顔を覗き込むように、私は口を開く。
瑞希「あの、ありがとうございました」
(結局、最後までおぶっていてくれた......)
お礼を告げると、首の後ろに手をあてる龍馬さんと目が合った。
瑞希「あの、少し休んでいってください」
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私は予備として用意していた下駄に履き替えると、
部屋を出て四季のお店の中へと戻っていった。
瑞希「お待たせしました」
するとお店の中には一人、机に頬杖をつく龍馬さんの姿がある。
私の姿を見つめると、龍馬さんが静かに口を開いた。
龍馬「お前、今から何か作れねえの?」