第2章 出会いと恋の始まり
目を瞬かせる私に、やがて龍馬さんが懐から何かを差し出す。
瑞希「......これは?」
その手の中には、可愛らしい髪飾りがあった。
龍馬「そこでもらったんだが、渡す相手がいねえからお前にやるよ」
瑞希「えっ......」
(私に、これを...?)
驚き見上げると、龍馬さんが顔を背ける。
龍馬「たまたま、最初に会ったのがお前だったからな」
瑞希「......ありがとうございます」
私は髪飾りを受け取ると、心の底からお礼を告げた。
(すごく嬉しい......)
やがて龍馬さんはちらりとだけ視線を向け、すれ違うように歩いていく。
龍馬「じゃあな」
慌てて振り返りその背中を追うと、桂さんや大久保さんが向かった方へと去っていた。
(それにしても、厄介事に巻き込まれると言っていたけれど、龍馬さんたちは、一体どういう人なんだろう......)
考えていると、私ははっと気づき顔を上げる。
瑞希「......!」
(そうだ。配達をしないと......)
髪飾りを髪につけると、私は手の中の風呂敷を持ち直した。
そして地図を辿り、私が辿り着いたのは...。
(ここ......?)
その門には、大きく『新撰組屯所』と書かれている。
瑞希「新撰組......」
口にすると、その言葉の響きに鼓動が跳ねた。
(まさか、ここってあの......)
思わず小さく後ずさると、後ろから足音が聞こえ、私はあわてて振り返った。
瑞希「......っ」
足音が聞こえ振り返ると、そこには見知らぬ男性の姿がある。
???「............」
わずかに驚いたようなその表情に、私も小さな声を上げた。
瑞希「え......」
片目が隠されたその整った顔立ちに、胸がざわめく。
(あれ......?この方どこかで会った気がする......)
短い沈黙の後、目の前の男性が口を開いた。
???「......ここに、何の用だ」
(そうだ、私は配達に......)
瑞希「あの......近藤さんに、届け物があるんです」
???「............」
するとどこか考えるように眉を寄せてから、男性が歩み寄ってくる。
(あ......)
すれ違うように門の中に入ってしまう様子を、私は思わず目で追った。