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幕末の華

第2章 出会いと恋の始まり


???「こんな女の人、いましたっけ?」

(え...........?)

男性が小さく首をかしげると、その後ろから土方さんが顔を出した。

土方「......総司、いいからお前は黙って飯頼め」

すると笑みを浮かべ、男性が促されるまま席に着く。

???「そうですね、そういや昨日から何も食べて無いや。お腹すいたなあ」

(昨日から?)

瑞希「あの......」

呼びかけようと口を開くと、男性が私を見上げて微笑んだ。

沖田「沖田ですよ」

その笑みに私は思わず息をのむ。

(すごく、綺麗な顔の人だな......)

考えていると不意に、沖田さんの視線が店の奥に向けられる。

沖田「へえ......」

何かに気付いたのか、沖田さんが面白そうに呟いた。

沖田「土方さん。すごいですよ、あれ」

土方「......あ?」

席に着いた土方さんが沖田さんの視線を追う。

とたんに、驚いたように小さく目を見開いた。

土方「あいつ......っ」

沖田「似てますよね」

(え......?)

私もつられて振り返ると、そこには篠宮くんの姿がある。

(どういうことだろう?)

瑞希「篠宮くんと、お知り合いですか?」

たずねると、沖田さんがくすっとした笑みをこぼした。

沖田「いいえ。でも、知り合いにそっくりなんです」

眉を寄せる土方さんが大きくため息をつき呟く。

土方「面倒くせえことにならなきゃいいがな......」

(知り合いって......一体どなたの事なんだろう......)

首を傾げながらも、私は二人の注文を取り台所に向かった。

その去り際、ふと沖田さんに声をかけられる。

沖田「気をつけてくださいね、足」

瑞希「え......?」

足を見下ろすものの何も変わったことはなく、沖田さんもそれ以上は何も言わなかった。

篠宮「先輩、こっち手伝って」

瑞希「あ、うん......」

沖田さんの言葉の真意はわからないまま、私は篠宮君に呼ばれ、その場を去って行った。



















土方さんや沖田さんご店を去ったころ、私は配達に出かけることになった。

瑞希「...........」

(京の道は分かりやすいから、地図を見ていけばわかるはずだと言われたけれど......)

風呂敷を下げたまま辺りを見回し、歩いていく。


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