【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》
第2章 ゼロの執行人
埋立地に作られたエッジオブオーシャン。ここは国際会議場やカジノタワー、商業施設などが集まる最新型の総合施設だ。
ここへ来るには陸路からは二本の橋がかかっているのみで、ひとたびテロが起きればどうすることもできないであろうことが容易に想像できる。
そのため警察は念入りな点検を決めた。
まずは公安部による点検、そしてその後は警備部による点検が控えている。
さくらは二宮とともにタブレット端末を持ちチェックを行っていた。提出された図面と相違がないか、建物の惰弱性はないかなどをチェックをしていく。
ふとさくらはあることに気が付きひとつの図面をじっと見つめ始めた。
「相沢さん、何か気になることでも」
「二宮君、ここのガス栓がインターネットでも開閉できるようになってるみたい。インターネット回線が繋がるのは今日からだったわよね?」
「はい、そうです。これは…サミット期間中だけでもオフラインにして手動に切り替えた方がいいかもしれませんね」
二宮はさくらが手に持つタブレットを覗き込むと表示された図面を見て眉を寄せ、表情を険しくさせる。最新鋭の建物とはいえ、なぜわざわざガス栓をインターネットで開閉できるようにしてしまったのか、とでも言いたそうだ。
「はっきり言って日本のネットセキュリティは遅れをとってる……こんなの、使ってくださいって言ってるようなものだわ。とりあえず降谷さんにも報告しないと……」