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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


「無理をさせてしまったな」
降谷がベッドサイドのリモコンを操作するとベッドがフラットな状態に戻る。さくらの額に降谷が手を当てると汗ばんでいて、少し熱く感じた。
「いえ、零さんこそ怪我をしてるのに会いに来てくれてありがとうございます」
「どうしても顔が見たくてな……今夜はここにいるよ」
「零さんも疲れてますよね?今日はちゃんと帰って寝てください。明日からまた事後処理で忙しいですよ?」
「あ、いや……明日はポアロの方に……」
「はぁ!?」
「毛利先生のフォローもしないとな」
さくらは降谷の言葉を聞き、ああ……と納得する。今回はコナンを表舞台に引っ張り出すためとはいえ、毛利探偵を使い、その家族には相当な心労を与えてしまった。
自分たち公安は正義のヒーローではない。
この国のためになるなら時に汚い手だって使う。
それでも、できることならフォローしたいと思うのは自分たちのエゴだろうか。終わったことは取り返せないというのに……
「分かりました。なおさらちゃんと帰ってください……その代わり、私も、零さんの作ったごはん食べたいです」
「はは、可愛いお願いだな。それくらい、退院したらいくらでも作ってやるよ」
「デザートもですよ!!」
「はいはい、お姫様」
そう言って降谷が手を取り、その手の甲に微笑みながら口付けを落としたものだからさくらは真っ赤になる。何をしても絵になるとはこういうことを言うのだろうか。
「ッ!!??」
「ほら、もう寝ろ。さくらもどうせ二宮に仕事を持ってこさせてここでやるつもりなんだろ?」
「う、バレバレですね」
降谷が優しくさくらの髪を梳くように撫でる。優しく暖かい手つきにだんだんと瞳が重くなり、起きていられない。うとうととする瞳で降谷を見上げた。
「零さん……私は、ちゃんとそばにいますよ……好き……」
「ああ、ありがとう。俺も好きだよ、さくら……」
降谷は噛み締めるように言葉を発する。そのまま頭を撫で続けると完全に瞳は閉じられ、スースーと穏やかな寝息が聞こえ始めた。
降谷はさくらの額に顔を近づけ唇を落とす。その寝顔をしっかりと見て、しばらくすると静かに部屋を後にした。
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