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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


さくらは隣に人が座る気配がしてそちらをちらりと見ると、部下である二宮晴人が彼女を見てにこりと笑みを浮かべていた。
「澪先輩おはようございます。前に言ってたプロファイリングできましたよ」
「堂上君、おはよう。ありがとう。急だけどこのあとお邪魔しても?」
「はい、どうぞ」
彼もまた公安である二宮晴人の他に堂上悠真としての顔を持っていた。堂上は澪の後輩で現在は大学院生。犯罪心理学を研究していて澪の執筆のために情報を提供をしている。ポアロにもよく現れる、そういう設定だった。
「安室さん、おはようございます。俺にもモーニングお願いします」
「堂上さんもおはようございます。分かりました。このあと大学ですか?」
「はい。ちょっと研究が忙しくなりそうで、しばらく来れないからポアロのコーヒーを飲んでおきたくて」
会話の端々の嘘の中に真実が見え隠れする。二宮はこれから研究ではなくサミットの警備の件でしばらく忙しくなる。しかし、ポアロのコーヒーが飲みたかったのは事実だ。
彼も立場上信頼のおける飲食店でしか食事をしないため、美味しいコーヒーが飲める場所は貴重だった。
他愛もない会話を続けているとモーニングセットが2人の前に置かれた。サラダにトースト、卵にヨーグルトとコーヒーとオーソドックスな内容だが他の喫茶店とは一味違うのがポアロのモーニングだった。
もともとポアロにあったモーニングをさらに改良したのが目の前の上司だと言うのだから、さくらは安室のことをどれだけ多才なんだと思わずにはいられない。
「いただきます」
そんなことを考えつつも冷めないうちにと、手を合わせて食事を始めたのだった。
「相変わらず美味しいです。トースト、サクサクでふわふわで。家で焼いてもこんな風にならないんですよね」
ふにゃりとさくらが気の抜けた笑みを浮かべると安室もニコニコと笑顔を返す。
「ありがとうございます。澪さんはいつも美味しそうに食べてくださるから、作りがいがありますね」
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