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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


「さて、僕はいまからポアロへ出勤ですが、澪さんもモーニングはいかがですか?作家さんとはいえ家に引きこもってばかりじゃだめですよ」
一般道路に下り、信号待ちでさくらの方を向いた降谷はにこりと、擬音がつきそうなくらいの笑みを浮かべる。その表情と口調は一瞬にして安室透のものへと変わっていた。
降谷が安室透としての顔を持つように、さくらも別の顔を持っていた。月城 澪というペンネームでミステリー作家をやっている。
安室透の学生時代の後輩で、安室が探偵になった今でもミステリー小説を書くために探偵業の話を差し支えない程度に聞いているという設定だ。
まわりに怪しまれないように警察の仕事と並行して執筆を行うのは骨が折れたが、彼女はもとより小説を書くことが好きだった。
大学時代に書いたミステリー小説が実際に小さな賞に引っかかり、そこから警察官になった今でもカモフラージュとして作家の自分を利用している。
「お気遣いありがとうございます、透先輩」
もともとこの後はポアロへ行く予定だったさくらは二つ返事で了承する。
その答えを聞き、そのまま車を走らせて降谷はポアロの近くの駐車場に車を停める。
「一緒に行くわけにはいかないので、その辺を1周してから行きますね」
「梓さんに早朝からドライブデートをしてましたと、正直に言えばいいのに」
首をこてんと傾げて年齢に見合わず可愛らしい仕草をする相手に、さくらは本気か冗談か図りかねてオロオロする。
「透先輩狙いの子達に刺されたくありませんから!じゃ!また後で!!」
相沢はまくしたてるように言うと、ポアロとは反対方向に向けて足早に歩き去る。降谷は笑みをこぼしその後ろ姿を見送り、ポアロに向けて歩き出した。
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