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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


「それにしても上も人使いが荒いですね。降谷さんにまで招集をかけるなんて」
平日の早朝、朝日の光を受けてキラキラと光る真っ白いボディのRX-7は首都高を滑るように走行していた。
目的地はとくにはない。あえて言うなら走行し続けることが目的だ。盗聴器のたぐいさえなければ車の中は秘密の話をするには最適な場所だった。
さくらは苦笑を漏らしつつ、ハンドルを握り眉間に皺を寄せて前を見据えている降谷をチラリと見る。
「仕方ない。うちだけじゃないがどこも人手不足だ。それに、各国の首脳が集まるサミットで万が一を起こすわけにはいかないからな。想定外でした、なんて言い訳が通用するわけがない」
そうですね、などと返事をしつつさくらは1冊の本を車のグローブボックスの中に入れる。一見するとどこにでもある文庫本だが、中身には細工が施されていて薄型のメモリーカードが仕込まれている。
「午後からの公安の警備会議の資料です。会議の様子はリアルタイムで転送します」
「ああ、わかった」
降谷は横目でグローブボックスに本が入れられたことを確認すると、適当な出口でウィンカーを着けて首都高を降りる。
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