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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


「あえて何針縫ったかは聞きませんが……とりあえず犯人が逮捕できてよかったです」
「ああ、ひと段落だな。で、相沢は何があったんだ?」
にっこり、相手が例えば安室透目当てにポアロに通う女子高生なら目をハートにしてその場に倒れてしまったに違いない。それくらいの極上の笑みを浮かべている降谷だが、目の奥は笑っておらずさくらは震え上がる。
「ひっ、あっ、あのですね。公園で降谷さんに報告する前にNAZU不正アクセス事件の時の資料を再確認したのと、再調査の依頼があった件で日下部が怪しいと踏んだんです……」
「なぜあの時、報告しなかった」
「確定できる証拠が何もなかったので、もう少し調査を進めてからと思いまして。そうこうしてたら、IOTテロが起こりました」
「それで?」
「え、えっとですね……」
表情は笑っているのに放たれる言葉からは明らかに圧を感じる。さくらはしどろもどろになりながら、事の顛末を話すことしかできない。自分の中で整理をしつつ、順を追って説明していく。
アクセスポイントを探知し、現場付近の歩道橋ですれ違った相手から突き落とされたこと。すれ違いざまに『死ね』と言われたので、おそらく相手は犯人だろうから意識を失ったふりをしてやり過ごし、通行人が救急車を呼んでくれたので、救急隊に警察病院への搬送をお願いしたこと。無事であることが犯人に知れるとまた命を狙われる可能性があるから、二宮に連絡を取り意識不明で処理をしてもらったことを説明した。
さくらは降谷の顔をまともに見れずに俯いてしまう。話し終わっても相手は無言のままで、重い空気が病室内に流れた。
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