【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》
第2章 ゼロの執行人
コナンと降谷の力でなんとかカプセルの軌道をずらしたあと、国際会議場の屋根に落ちた2人は向き合って対峙していた。
「後はこっちで処理する。君もすぐに行くんだ」
国際会議場に突入する際にガラスで腕を切った降谷は左肩を押さえてその場に立っている。辺りの床には降谷のものであろう血が着いていた。
「まだ謎は解けてないよ……どうして小五郎のおじさんを巻き込んだの?」
降谷は口の端を上げて笑みをこぼす。
「僕は立場上、公に捜査ができない。相沢が動くと言っても限界がある。彼を事件に巻き込めば君は必然的に『協力者』になる。そうすれば、君の本気の力が借りられるだろう?」
降谷は苦笑を漏らしつつも、その表情はどこか晴れ晴れとしていた。
「……買い被りすぎだよ」
コナンも肩をすくめて苦笑を漏らす。
「それとさっきの答え……澪さんのこともこの国と同じくらい特別視してるんじゃない?」
コナンの言葉に降谷は目を見開き、少し考えた後に口を開く。
「君は本当に知りたがりだね……この場所で、特別な人は作らない……作れないと思っていたけど、どうしても抑えることができない感情もあることを知ったよ」
自嘲するような笑みを浮かべる降谷にコナンはそれ以上何も言うことができなくなった。
しばらく無言で見つめ合った2人だが、お互いに背を向けて歩き出した。