【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》
第2章 ゼロの執行人
「ここだっ!」
降谷がハンドルを思い切り左に切るとダイブしたRX-7はすぐ下を通るモノレールの走行路に着地した。しかし、すぐに別のモノレールが迫ってくる。
高いところから跳び、つんのめった状態で着地したため、RX-7の車体が大きく左右に揺れる。
「くっ!」
追いつかれる!コナンがそう思ったのもつかの間、降谷はすばやく体勢を立て直してアクセルを踏み込み加速して、モノレールを引き離した。
あまりの出来事に今まで何度もピンチに遭ってきたコナンですら命の危険を感じて冷や汗を流している。
「死ぬかと思ったぜ……にしてもスゲェな」
「で、どうする?」
降谷に言われて我に返ったコナンはスマホを操作した。
「この建築中のビルに向かって!」
コナンが降谷に向けたスマホの画面には爆破された国際会議場の写真が写っている。降谷も見覚えのあるニュースサイトに掲載されたものだ。黒煙が立ち昇る国際会議場の脇に建築中のビルがある。
「よし!」
コナンの意図を瞬時に理解した降谷はニヤリと微笑む。
「相沢、目的地は国際会議場の近くの建築中のビルだ。これ以上のナビは必要なさそうだ」
『了解しました。終わったら連絡をください』
「ああ、わかった」
さくらとの通話を終えた降谷はハンドルを握り直し、目的地に向けてRX-7を猛スピードで走らせた。