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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


「羽場を自殺に追いやったのは……いや、殺したのは公安警察だ!!」
「……彼女を……相沢を階段から突き落としたのも日下部検事あなたが?」
思いのほか落ち着いた声が出たが、その声色は地を這うようで降谷の怒りの大きさを表していた。
「そうだ!羽場が自殺する直前の取り調べはあの女が行ったと記録には残っていた!国際会議場の爆発に巻き込まれて死ねばよかったものを、軽傷で済んでいたから確実に死んでもらおうと思った!IOTテロに乗じて犯行を行えば混乱して救急車の到着が遅れて助からないと思った」
日下部の言葉に降谷はぐっと拳を握り決める。自分勝手な正義をふりかざす日下部を降谷は今にでも殴ってしまいそうだった。
確かに羽場の取り調べを行ったのは記録上はさくらになっている。しかし、実際に行ったのは降谷だった。潜入捜査中で書類に名前が残せない降谷の代わりに、書類関係の名前はすべてさくらになっていたのが今回は仇となったようで、降谷はギリッと奥歯を噛み締める。
「それで警視庁に探査機を落とす計画を……?」
「『はくちょう』の帰る日が羽場の命日だと知った時から……」
コードを言うことを拒む日下部に対してコナンがスマホの画面を見せる。そこには自殺したはずの羽場が写っていて、ライブ映像だというその映像に日下部は動揺を隠せなかった。
「拘置所で彼を取り調べた公安警察は彼を自殺したことにして、これまでの人生を放棄させたんだ。公安検事が協力者を使っていたという事実を隠蔽するために。そして、公安検事が二度と協力者など作らぬよう、そのことはあなたにも伏せられた」
降谷から淡々と語られる真実に日下部は愕然とした表情を浮かべる。そんな日下部の様子を気にかけずに降谷は続ける。
「自らした違法作業は、自らカタをつける。あなたにはその力がない。公安警察がそう判断したんだ」
日下部はがっくりと項垂れる。その後もなかなかコードを言わない日下部に降谷とコナンは詰め寄る。
降谷のイヤホンからは風見の焦った声が聞こえた。
『降谷さん、もう時間が!』
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