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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


しばらく成り行きを見守っているとコナンがその場所を離れようとしたために、降谷は立ちふさがるようにその前に歩いて出る。
「捜査会議の盗聴かな?」
「な……なんでここが……」
明らかに動揺を隠せずに目を見開くコナンに降谷は笑みを浮かべて言葉を続けた。
「毛利小五郎のこととなると、君は一生懸命だね。それとも、蘭姉ちゃんのためかな?」
今回は降谷のことを完全に敵だと思っているコナンは目の前の相手をぐっと睨みつける。
その時、植え込みの方からガサッという葉っぱが擦れる音がした。
「構わない、出てこい」
「なぜ、私を呼んだんです?降谷さん」
一般人が居るというのに降谷のことを本名で呼んだ風見に対して、見守っていたさくらはめまいを覚える。
普段は真面目すぎるくらい真面目で降谷の手足となり奔走する風見だが、もう少しだけ周りを見てください!と思わずにはいられない。
それでも、さくらは風見の真面目で立場上、汚れ役をやらないといけなくても信念を曲げず、真っ直ぐな所を尊敬していた。
風見の問いかけに降谷は答えず、相手の腕を掴んで捻り上げた。風見は立っていられずにその場に膝をつくと、降谷は無遠慮に風見の袖口に手を突っ込んで盗聴器を外した。
「これでよく公安が務まるな」
盗聴器を仕掛けられていた失態に動揺を隠せず、さらに怒気を孕んだ瞳と言葉を投げかけてくる降谷に風見は思わず声が上ずる。
「す……すみません」
普段とは違うオーラを放つ上司に自分が言われたわけではないのにさくらはぶるりと震えあがる。あの時、もしもコナンの仕掛けた盗聴器に気が付かなければ、自分もあのオーラを直接浴びることになっていたのか。
さらに降谷は手にした盗聴器を指先の力だけで押しつぶしてしまい、その行動にさらに震え上がった。
綺麗な顔をしていてなんてパワーだ、さくらはそう思わずにはいられない。
降谷は用事は済んだとでも言うように風見の手を離すと、スタスタと橋の方へ歩いていってしまった。
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