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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


その翌日、警視庁の大会議室では刑事部と公安部の警察官が集められ、小五郎の事務所から押収されたパソコンの調査報告をしていた。
二宮は風見の横に座り報告を聞きつつ会議の内容がシナリオから外れていないか確認し、手元のパソコンで報告書を作成する。報告が続いていくと警察官たちの前に座っている黒田が問いかけた。
「取り調べではなんと言ってる?」
「毛利小五郎は否認を続けています。否認のままでも送検はできますが」
風見は当然のことだと言わんばかりに言い放つ。その口調はどこか冷たさを帯びていて、二宮は心の中でこの先輩も役者だよなぁ、などと場違いなことを考えていた。
風見の言葉に黒田の横に座る目暮が勢いよく立ち上がる。
「動機もわからないのに送検する気か!」
「証拠がそろえば送検。警察官として当然のことですが?」
「待ってくれ!何か引っかかる。何かおかしい!」
目暮のこの言葉に二宮は誰にも気が付かれないようにため息を漏らす。警察官として支離滅裂なことを言っているのに、必死で発言する本人は気がついていないらしい。
「何か引っかかる、何かおかしいで、これだけの捜査員が動くと思いますか?」
畳み掛けるような風見の冷たい言葉と眼差し、さらには風見の後ろに座る公安刑事たちの視線を受けても目暮は発言をやめる気はないらしい。
「それでも」
「それだけ言うなら毛利小五郎が犯人ではない証拠と真犯人を提示してもらいましょうか、今すぐに」
何か言おうとした目暮の言葉を遮ったのは風見の隣に座る二宮だった。あまりの物言いに刑事部の警察官たちはぎょっとして二宮を見るが、公安部の警察官たちは彼の発言に何の反応も示さない。
「できないでしょう?それなら送検、当然のことです」
「うう……」
「目暮警部……それに捜査一課の方たちは毛利小五郎と懇意にされているそうですね?目暮警部が現在行っていることは身内かばいと一緒ですよ。これ以上、ここにいる捜査員の貴重な時間を奪うわけにはいかないので納得して頂けますよね?」
疑問符は着いているものの相手に有無を言わせない二宮の物言いに、今度こそ目暮は押し黙るしかなかった。
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