【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》
第2章 ゼロの執行人
「いらっしゃいませ、澪さん」
そこでは安室がいつもの人の良い笑みを浮かべて待ち構えていた。周りを見渡すと他に客はおらず、いつもいる梓もいないようだった。
安室はさくらを席へ案内して水を置きつつ、その耳元でそっと囁く。
「盗聴器に気がついたのはさすがだ。本当に恐ろしい子だよ」
安室の言葉にさくらは苦笑しつつ頷いた。
「コーヒーお願いします。あとはケーキも」
「かしこまりました」
本当はコーヒーだけ飲んで帰るつもりだったが、コナンとのやり取りは思いのほか神経を使ったようで糖分を摂取したい気持ちだった。
ケーキに舌鼓をうち、本当にこの上司は何でもできるなと思いつつ出されたコーヒーを飲み終え、お会計のために席を立つ。さくらは伝票と紙幣にUSBメモリを紛れこませて安室へと手渡した。この中には現時点で自分や二宮が掴んでいる情報が入っている。
「ありがとうございました」
「ごちそうさまでした」