【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》
第2章 ゼロの執行人
これ以上、安室に話しをしても無駄だと思ったコナンが振り返るとそこには顔には大きなガーゼを、服から除く手首には包帯を巻いたさくらが立っていた。
「澪さ、ん…」
ひと目で爆発に巻き込まれたであろうその姿にコナンは目を見開いて思わず固まってしまう。
「電話、出られなくてごめんね。ちょっとごたついてて」
心底申し訳ないといった表情を浮かべるさくらを責め立てる気にならずにコナンは道を開ける。
コナンは横を通り過ぎようとしたさくらの袖を掴んで引き止めた。
「澪さん、どうして」
この『どうして』には色んな意味が含まれているのだろう。電話に出ないこと、ケガのこと、犯人でっちあげのこと……しかし、さくらには何一つ答えることができない。
「降谷さんだけじゃない。私にも……風見さんや二宮君にも守らなければいけないものがある、ただそれだけよ」
ふっと笑みを浮かべたさくらをコナンはそれ以上追求することができなかった。
「これ、私に着けてもなにも分からないと思うよ。私は捜査会議には出ないから」
さくらは先程コナンに袖を掴まれた時に着けられていた丸い、一見するとボタン電池のような物体をコナンの前に差し出す。
コナンはバツが悪そうな表情をするとそれを受け取った。それを確認するとさくらは今度こそドアを開けてポアロの中へ入った。