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【降谷零・安室透】そばにいさせて《ゼロの執行人編》

第2章 ゼロの執行人


さくらは現時点で自分が掴んでいる情報を降谷へ渡そうとポアロへ向かった。しかし、タイミングが悪かったようでポアロの外を掃除する安室に、コナンがスマホの画面を見せて詰め寄っているところだった。
このまま帰るわけにはいかずにことの成り行きを見守ることしかできない。
「公安の刑事さんだよね?」
「さぁ、知らないけど」
安室は横目で写真を見るが、淡々とした言葉遣いでコナンを突き放すような物言いだ。
「ケガしてるね、風見刑事も安室さんも。つまり安室さんもいたんだよね、爆発現場に。しかも、あの爆発以来、澪さんとも連絡がつかない」
コナンの発言に聞いていたさくらは思わず肩を揺らす。さくらはコナンの背後から少し離れたところに立っているため、彼はその存在に気がついていないようだ。
普段ならこれくらいの距離ではこの聡い小学生は気がつきそうだが、興奮して安室にまくし立てているためか気がついていないようだった。
「なんの話かわからないな」
「サミット会場の下見をしてたんでしょ?」
コナンの言葉に、安室はほんの一瞬動きを止めるがすぐに掃除を終えてドアに向かう。
「きっとそのとき、テロの可能性を察知した。だけど、今のままじゃ爆発を事故で処理されてしまう。そこで容疑者をでっち上げた。違う!?安室さんや彼、澪さんみたいな警察官なら、パソコンに細工をしたり現場に指紋を残すことだって可能だよね!?」
ポアロのドアの前で立ち止まった安室にコナンは必死に自分の推理を言い放つ。しかし、安室は興味がないとでも言うように冷たい声色で返事をする。
「警察はね、証拠のない話には付き合わないんだよ」
「なんでこんなことするんだ!」
普段は小学生のわりに冷静なコナンが冷静さを欠いて声を荒らげる。それだけ必死であることが伝わりさくらはこういう状況であるにも関わらず思わず笑みを浮かべる。
大丈夫、彼はちゃんと動いてくれる。
「……僕には、命に代えても守らなくてはならないものがあるからさ」
安室はコナンの方を1度も振り返ることなく言うと、ドアを開けてポアロの中へ入った。
コナンは難しい顔をして安室の消えていったドアを睨みつける。
(今回の安室さんは、敵かもしれない……)
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