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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第5章 真実への道


家がある場所から少し進んだ先に建つパブに入った。
二階へと上がり、上着を脱ぎ席に着く。中はそれなりに賑わっていた。
こういう場に馴染みのない私は、そわそわしてしまった。
それに比べてロナルドは、かなり慣れた様子で注文を終えていた。
それを見て、エマが言っていたことを思い出した。
思い切って、本人に聞いてみることにした。

「ね、ロナルドは合コンが生き甲斐なの?」

私の突然の質問に、ロナルドは目を丸くしていた。
唐突過ぎただろうか。

「……そんなことまで、エマから聞いたの?」
「聞いたっていうか、話の流れで」

何故か少し困った様子のロナルドは、頭を掻いていた。

「いやー……生き甲斐っつーか、しょっちゅう行ってた時期もあったかな……割と最近まで」
「あの……」

私の次の言葉を待つロナルドは、なんだか身構えている感じだった。

「あのね」
「何だ」
「合コンって」
「おう」
「合コンって……何?」

彼は、今度は目をぱちくりさせていた。

「エマが言うには、男の人と女の人がワーキャーやるやつだって事らしいんだけど、ってことは……」
「う、うん」
「これも合コン?」

目を見開いていたロナルドは、吹き出した。
今度は私が目を丸くしてしまった。

「いやいや、本当に、クロエは面白いな」
「お……面白い!?」
「好きだよ、そういうの」

好きという言葉に全て持っていかれそうになったが、堪えた。

「……ねぇ。またそうやって私をからかうの……?」
「からかってないよ」
「いいもん。知らないこと多くて、どうせ私は」
「子ども、じゃないだろ?」

言おうとした言葉を、同じ言葉で遮られた。
そんなやりとりの中、ロナルドが注文していたものが運ばれてきた。

「あ、クロエに酒飲めるか聞かないで頼んじゃった」
「飲めるよ。……子どもじゃないし」
「だな。良かった」

目の前に置かれたグラスに、薄く金色に色づいた液体が注がれた。
テーブルに置かれたビンのラベルには『KRUG』と書かれている。

「これは……?」
「特別な飲み物」
「特別……」
「そ。大切な人としか飲まない」

私の心臓が跳ねた。
ロナルドは一体、どういうつもりで、こういうことを言うのだろうか。
毎回、私だけが緊張させられているようで、少し悔しい。
二人でグラスを持ち、軽くグラス同士を触れあわせた。
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