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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第5章 真実への道


「臓器?」
「……は? 臓器!? ……取り出す時点で死ぬっしょ」
「そっか」
「んー、だからさ、女が体を売るっていうのは」

ロナルドは覚悟を決めたように言った。

「えっ、ちなことをして金を……」
「え?」
「だーから! 客の男にエッチなことをして金をもらってる女のこと!」

思ったより大きな声を出してしまったロナルドは、また固まった。
私も固まった。

「……チューしたり?」

ロナルドは、それを聞いて笑い出した。

「お前、可愛いな」
「は!? 何、急に」

何か物凄く恥ずかしいことを言ってしまったようで、顔が赤くなってしまった。

「いいよ、クロエはそのままで」

ロナルドは腕を伸ばして私の頭を撫でた。

「……そうやって子ども扱いする」

伸ばしていた腕を戻し、ロナルドは私の目を真っ直ぐ見て言った。

「子ども扱いしてるつもり、ないんだけど」
「え?」
「だって俺、クロエと、もっとい……」

そこまで言って、ハッと、我に返ったかのようになった。
ロナルドは目を泳がせている。

「いや、なんでもない! なんか勢いで変なこと言うとこだったわ」
「……何?」
「本っ当になんでもない! 忘れて!」

いつにも増して、おかしな様子のロナルドだった。
彼は一度、深呼吸をしてから続けた。

「……話の続き、ね」
「あ、うん」
「要は、クロエの伯母さんがそういう商売をやっている人だったのかを聞きたかったんだけど、どうやらそれは違うっぽいと」
「……多分」
「まぁ、そうだよな。この事件のときは、クロエはまだ小さかったんだもんな」
「うん」
「で、なんだけど」

少しロナルドの話すトーンが変わった。

「この時代の“本物”のクロエに会ってみたくない?」
「え……」

まだ“穢れ”を知らない私。
“幸せ”を“幸せ”だと気付いていない私。
そんな私が、1888年のこの時代のどこかにいるはずなのだ。

「こういうのって、自分と会ったりしちゃいけないんじゃないのかな」
「うーん。接触を持つな、とは聞くよね」
「でも」
「ん?」
「ローズ伯母さんが、今どんな状況なのかは知りたい」
「よし、じゃあ決まりだな」
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