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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第5章 真実への道


それから数日が過ぎるのは、あっという間だった。
エマの配慮で、私の存在は隠し通された。今更ながら、彼女は総務の中でもかなり出来るポジションなのだろう。
それだけでなく、私が退屈しないよう、毎日部屋を訪ねてくれた。
自分の服を一着しか持たない私に、お下がりをくれたりもした。

「うん、似合ってる! 可愛い子は何を着ても可愛いわね!」

いつもそんなことを言っていた。
そんな気遣いが、私に元気を与えるのだった。

ロナルドは、いつも私を外に連れ出してくれた。
グレル・サトクリフとマダム・レッドに遭遇したあの日から、なんとなくお互いに意識してしまうこともあるが、それでもロナルドは出来るだけ変わらずに接してくれようとしていた。

彼らは本当に、私の命の恩人だ。
しかしながら、やはり、死神が命の恩人だなんて、おかしな話でもあるのだが。

ある日の夜、珍しくロナルドが部屋に訪れた。

「クロエ、ちょっと良い?」

何か急ぎの話があるようだ。

「どうしたの?」
「調べてわかったことがあるんだけど」

ロナルドに椅子へ座るよう促し、私はベッドに腰掛けた。

「例の事件の被害者には、共通点があったらしいんだよ」
「共通点?」
「うん。……クロエの伯母さんって、仕事は何してた?」
「仕事はしてなかったはず。それなのに家のお金使っちゃったりして大変だったんだから」
「そうか」

ロナルドは腕を組んで考え込んでいるようだった。

「聞いて嫌な思いさせたら、マジでごめんね」
「ううん、何?」
「被害者の共通点ってのが、同じ病院である手術を受けていたことと」

ある手術とは恐らく、中絶手術のことだろう。
私の伯母も受けていた。
それが暴かれたことによって、伯母の不倫が浮上したのだから。

「もう一つなんだけど……みんな、娼婦だったんだってさ」
「ショーフ?」
「そう」
「……ん?」
「あ……知らない?」

お互いに固まってしまった。

「えっと……」
「うん」
「娼婦ってのは」
「うん」

ロナルドは何かもごもご言っていた。

「何?」
「え? あ、だから、売ってる女達だよ」
「何を?」
「その……体をね」

私は意味を考えた。
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