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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第4章 遭遇


「で、何なの? 残業嫌いのアンタが、担当地区でもないこんな所までアタシを追って来た理由は」
「あんた達が起こしている事件。あれ、リストにない人間も殺してますよね。それは先輩がこの女に手を貸してるってことでOK?」
「だったら何? 柄にもなくアタシの身を上に突き出すつもり?」
「いや、そんなことはどうでも良い」
「じゃあ何よ」
「あんた達がこれから殺そうと狙っている人物の名を教えてほしい」
「は? そんなの教えるわけないじゃない」

グレルは即答だった。

「ですか。なら、もし俺が一発でその名を言い当てたら、詳しく教えてもらえません?」
「随分とアバウトな条件ね。何を企んでいるんだか知らないけど、ま、いいわ。呑んであげる」

私は固唾を呑んだ。

「それで? その名前は?」
「ローズ・ニコルズ」

ロナルドが答えた。
少しの間、沈黙が流れた。
時間にして数秒だったはずだが、私にとっては長い時間が過ぎたような気がしていた。
その沈黙を、グレルが衝撃の一言で破った。

「誰よ、それ」
「……マジで言ってます?」
「マジも何も。アンタが自信満々に『その名を言い当てたら〜』なんて言うから、期待しちゃったじゃないのよ」

グレルは、とんだ茶番ねと、溜息を吐いた。

「なぁに、クロエちゃん。そのローズって人を探してるの?」

マダム・レッドが私に問い掛ける。

「い、いえ……」
「知らないんなら、もう用は無いっス。引き上げてもらって大丈夫でーす」

ロナルドが、私の言葉を遮るようにして声を上げた。

「もう、本当に何だったのよ! アタシ達の貴重な時間を返して頂戴!!」

グレルは去って行ってしまった。

「クロエちゃん。さっきは怖い思いをさせてごめんなさいね。私、可愛い女の子は大好きよ。またどこかで会えたら嬉しいわ」

そう言ったマダム・レッドも、グレルについて行ってしまった。
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