Little lieR【イケヴァン◆ifイベ原作】
第10章 語れ、哀しい真実を
「レフィリア様は、長らくこの地を治めていた公爵家の生まれでした。
彼女は………兄上であるあの男と
一族の方々に囲まれ、とても幸せだったことでしょう」
「 『だった』………?」
「あの方が16歳になる誕生日の事でした。
人間たちが奇襲を仕掛けたのですよ………『吸血鬼狩り』と称して
人の身であった私の家族もろとも、ね」
「………!」
「レフィリア様はちょうどそのひと月前、辺境伯から求婚されていました。
けれど………奥様は断ったのですよ。
『新興貴族にわが娘を嫁がせるなどとんでもない』―――そう仰って」
「レフィリア様はいつも仰っていました。
『私がいなければ………私があの男に嫁いでいれば
お母様や一族の方々を死なせずに済んだのに』―――と」
「それから五年経ちますが、あの方は今でもご自身を責めているんです。
その後でした。
レフィリア様がルージュを………人間の血を口にしなければ、
13番目の満月の夜にお亡くなりになると分かるのは」
「どういう、コト………!?」
「レフィリア様は人を咬んだことがありません。
ひとたび咬んでしまえば、その人間は同族になる。
あの方はそれを恐れていたんですよ………」
「なぜ?」
「あの方は永遠がどんなに孤独かということをご存知ですから。
そして………大切だと思っていたご友人が
レフィリア様のもとを離れていく虚しさも知っています」
「そんな………。キミは優しすぎるよ」
「えぇ。………あの方はずっと御一人で苦しんでおられたんです」
すべてを放したセバスチャンは、おもむろに懐の手紙を取り出した。
「それ………まさか、」
「レフィリア様からのものです。
私と………貴方がたに宛てたもの、ですが」
丁寧に広げると、読み始める。