第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
「 美雨は納得してんのか? 」
岩泉くんは真剣な顔で私の事を見つめている
納得も何も本当に付き合っている訳ではない
黒尾さんがこちらを鋭く睨みつけているから
本当の事は言えなくて誤魔化すしかなかった
「 え──っと … 強引かつしつこくて … 」
「 美雨も満更でもないんじゃない?
昨日、2人でお風呂入ってたみたいだしね 」
「 月島くん!ちょっと … 」
「 だって本当の事でしょ?
中で2人が何してたかは僕は知らないけど 」
月島くんはニヤニヤしながら爆弾を落とす
私が満更でもないなんて冗談じゃないのだ
どちらかと言えば私は巻き込まれただけで
黒尾さんを好きだなんて誤解は屈辱的である
「 美雨が黒尾を好きなら仕方ないか 」
「 岩ちゃん、美雨ちゃんが好きなの? 」
「 お前は馬鹿か
もしも美雨が強引に付き合わされてんなら
それは美雨が普通に可哀想だと思っただけ 」
岩泉くんはああ見えて勘が鋭いみたいである
彼の言う通りで黒尾鉄朗とゆう身勝手な男に
私はとんでもなく振り回されてるだけなのだ
でも今はそんな事をカミングアウト出来ない
「 って事だからよろしくな
仕事は今まで通りやらせるつもりだから。
セックスしたきゃしてもらって構わねえよ 」
「 お前は一応彼氏なんだろ?!
彼女が他の人とヤッて嫌じゃないのかよ? 」
「 まあ嫌っちゃ嫌だけど
それはこいつの仕事だから仕方ねえだろ 」
私達は本当に付き合ってる訳じゃないから
黒尾さんがそれにヤキモチを妬く事は無い
きっと今まで通りで何ら変わりない事なのだ
変わる事なんかと言えば偽物の肩書きくらい