第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
「 おはようございます 」
私は何事もなかったかのように翌朝を迎えた
昨日黒尾さんを求めてしまった事に関しては
すぐにでも忘れてしまおうと心の中で誓った
朝食を食べに全員がリビングへと降りてきた
黒尾さんの態度も至って普通の態度だった
昨日私と話していた事なんて忘れたのだろう
「 美雨、そこの塩取って 」
「 はい 」
黒尾さんが私に向かって発した何気ない言葉
それにみんなはすぐに違和感を覚えたようだ
特に木兎くんはすぐに反応して言葉に出した
「 黒尾が美雨って呼んでんの初めて見た! 」
「 ああ … そういや
俺達、昨日から付き合い始めましたんで。 」
「「「 はあ?!?! 」」」
てっきり忘れているだろうと油断していた
だから黒尾さんの唐突すぎる交際報告に
私は飲んでいた牛乳を吹き出しそうになった
何もこんな朝からそんな報告しなくても …
全員が全員全く同じ反応をして驚いている
そりゃそうか、ありえない組み合わせだもん
陽葵ちゃんの方を横目でチラリと見てみると
暗い顔をしながら下に伏せているではないか
やっぱりどんな形でも傷ついてしまうよね
それに私は彼女が彼を好きな事を知っていた
彼女からすれば私が裏切ったと思うのが普通
「 いつの間に?!どうゆう事なんだよ?! 」
「 美雨ちゃんとクロりんはありえないね 」
「 やっぱり美雨が好きだったんですね 」
興奮した木兎くんになぜか怒ってる及川さん
黒尾さんの気持ちを冷静に分析する赤葦くん
ちゃんと説明しないと面倒な状況になるかも
でも彼が良い言い訳を考えてるとは思えない
「 気になる奴ほど苛めたくなんの!
小学生くらいん時にお前らも経験あんだろ?
好きな子にはちょっかい出したくなるもんで
その時の気持ちと似たような感じなわけよ!
こいつは苛め甲斐があるから面白いだけだ 」
黒尾さんはよく分からないことを言っている
この人はやっぱり何も考えてなかったのか …
普通の顔をしてご飯を頬張っているけれど
私から見たら嘘をついているのはバレバレだ