第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
すると黒尾さんの寝息が耳に当たり始める
くすぐったくて顔をすぐに動かして避けた
それでもまだ耳に息が吹きかかってくるので
黒尾さんがわざとやっているのにすぐ気付く
「 わざとやってますよね? 」
「 性欲コントロール出来るんだろ?
だから本当かどうかを試してみてんの 」
「 本当、黒尾さんって幼稚ですね 」
呆れながら私は黒尾さんを無視する事にして
再び重い瞼を閉じて眠りにつこうとし始めた
すると黒尾さんの手はパジャマの上から
私の体を弄りボタンを器用に開けていく
あっさりと下着部分まで到達してしまい
それをズラし私の乳首を刺激し始めていく
「 んっ … もう!寝たい … 」
「 そのまま寝てろよ
性欲コントロール出来るんだろ? 」
黒尾さんの何かのスイッチを押してしまった
さっきしたばかりなのに体が再び熱を持った
彼に触れられただけで体がこんなに熱くなる
その事実も腹ただしい “負けてはならない“
そんな事を思いながらギュッと瞼を閉じた
彼は乳首を刺激しながら耳を同時に攻める
声を押し殺しながら必死でその場をしのぐ
黒尾さんの手は止まる事なく刺激を続ける
下にゆっくり手を伸ばし下着の上から弄る
肝心な部分は触らず周りだけをなぞられる
「 んっ … 」
焦らされているみたいで歯痒くなってきた時
黒尾さんの手はピタッと止まってしまった
彼は突然手を引き抜いて刺激するのをやめた
こちらに背を向けて寝る体制に入ってしまう
中途半端に絆された私の体はまだ熱かった
── こんな筈なんかじゃなかったのに!!
黒尾さんが余計な事をしてくれたもんだから
私はしたくてしたくて堪らなくなってしまう
眠り始めた黒尾さんの背中を指で突いてみる
彼はこちらに振り返りニヤリと微笑んでいる
「 何、したくなった? 」
私は言葉を発すること無く黙ったまま頷く
それを確認した黒尾さんは嬉しそうに笑う
もちろん彼に負けた悔しさはあったけれど
この体の熱を早くどうにかしたい方が勝った
自ら黒尾さんを求めるなんてどうにかしてる
そんな事を思いつつ結局欲には勝てないのだ
その日は2回も体を交じり合わせたのだった