第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
てっきりこのまま自分の部屋に突き返される
そんな事を予想していたがその予想は外れた
何故か再び私は黒尾さんの部屋に戻って来た
私の体をベッドの上にゆっくり下ろした後
黒尾さんはも隣に腰掛けて煙草を吸い始めた
「 黒尾さんって彼女は居ないんですか? 」
私は突然 黒尾さんに質問をしてみたのだ
陽葵ちゃんの気持ちを聞いて気になっていた
こんな話なんてみんなの前では出来ないから
今は2人きりだし良い機会だと思ったのだ
「 居ねえよ
女って面倒だから必要ねえと思ってる 」
女は面倒だから必要ない … 彼らしいか。
そう言えば前に及川さんが言ってたけど
黒尾さんは陽葵ちゃんが自分を好きな事を
果たして本当に気付いているのだろうか?
「 黒尾さんって …
陽葵ちゃんの気持ちは知ってますか? 」
私の発した言葉に一瞬目を見開きながらも
ゆっくりと煙を吐き出し間を開けた後答えた
「 知ってるよ、答える気ねえけどな 」
「 どうしてですか?
てっきり黒尾さんも好きなのかと … 」
「 んな訳ねえだろうが
確かにあいつの事は可愛いとは思うよ
お前と違ってがさつじゃなくて女らしいし。
でも俺には妹みたいにしか思えねえからな 」
やっぱりこの人は一言余計なんだよな
まあ確かに妹にしか見れなくなってしまえば
なかなか恋愛に発展しにくいのかもしれない
でも好きな人に妹みたいって思われてるのは
もしかしたら結構辛い事なのかもしれない
「 そうでしたか … 」
「 そうゆう対象じゃねえの
だから早いとこ諦めてくんねえかな? 」
「 そんな事、私に言われても …
いっそ彼女が出来たとか言えば良いんじゃ 」
「 あ!良い事思い付いた
お前、今日から俺の女になれよ 」
── この人は一体何を言っているのだろうか