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憂鬱王子はキスをくれない. / ハイキュー

第1章 憂鬱王子はキスをくれない.



カラー剤をシャンプーで洗い落としたら
ブローし髪の毛をコテで丁寧に巻いていく
完成まで見ちゃダメと菅原くんに言われ
鏡は布で隠されていて変化した自分の姿は
私には全くもって何の想像もつかなかった

髪の毛が完成すると今度はメイクを施された
メイクは女性のスタッフさんが行ってくれた

「 ちょっと待っててくださいね 」

ようやくメイクが終わるとスタッフさんは
菅原くんを呼びに行ってしまい取り残された
チラリと見える髪の毛は淡い栗色をしている
どんな風になったか楽しみ半分、不安半分だ

「 美雨ちゃん、こっち向いて 」

菅原くんの声がする方へとゆっくり振り返る
私を見た彼は一瞬目を見開いて微笑んでいた

「 綺麗になったね … 見て 」

菅原くんは鏡に掛かっていた布を剥ぎ取ると
私の座っていた椅子をゆっくり回してくれた
鏡に映っていた自分は凄く別人の様に見えた
艶々な淡い栗色のウェーブがかかった髪に
ブラウンのシャドウに薄いピンクのチーク
ほんのり赤みのあるラメが入っているグロス

「 凄い … ですね 」

「 こりゃ帰ったらみんな驚くべ! 」

「 人はこんなにも変われるんですね … 」

菅原くんはガッツポーズをしながら笑う
撮影する為に場所を変えて写真を撮った
写真はお店のホームページに使うそうだ

撮影中は緊張して表情が固くなってしまった
そんな私を見かねた菅原くんは笑わせようと
ものまねなんかをしながら撮影をしていた
その姿が面白くて私は気持ちがとても和んだ

「 よし!撮影終了、お疲れ様
俺も今日は上がるから一緒に帰ろう 」

「 はいっ!有難う御座いました 」

「 こちらこそ!
すぐに行くから店の外で待ってて 」

菅原くんが出てくるのを店の前で待った
鏡で何度見ても自分の姿に見慣れなず戸惑う
伸ばしっぱなしの前髪も少しだけ短くなった
鼻にかかる髪の毛がなんだかくすぐったい

1人で待っている時に初めてナンパされた
なんとかお断りは出来たけど驚いてしまった
見た目が変わるだけでこんな事が起きるのか

「 お待たせ、帰ろうか? 」

私は菅原くんの隣に並んで歩き始めた
今度から髪の毛を切る時は彼にお願いしよう
美容室に行くのがあまり得意ではなかったが
彼が居るなら私なんかでも行きやすいかも …
そんな事を思いながら彼の車に乗り込んだ

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