第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
菅原くんが働いている美容室に到着すると
私はすぐにシャンプー台へと案内をされて
アシスタントに髪の毛を丁寧に洗ってもらう
髪の毛を洗ってもらうのはやはり心地良い
髪の毛を洗ってもらうと席に座らされて
菅原くんが髪の毛を早々にカットしていく
真剣な顔をしている彼はどこかカッコイイ
「 俺のイメージで切っていくけど
変な風にはしないから安心してていいよ 」
「 はい 」
伸び切っていた髪の毛は段々短くなっていく
私は何もせずに鏡をまじまじ見つめていた
置かれていた雑誌なんかをみているよりも
真剣な彼とどんどん変わっていく自分の姿を
ただ見ている方がよっぽど面白いのである
ある程度カットが終わると次はカラーだ
混ぜられた液剤を髪の毛に塗られていた
髪の毛は果たしてどんな色になるのかな?
「 美雨ちゃんはさ好きな人とか居ないの? 」
菅原くんが液剤を塗りながら私に尋ねた
鏡越しに彼と目が合うと少し恥ずかしかった
「 好きな人は居ません … 」
「 イメチェンしたら彼氏作ればいいのに!
好きな人居ないなら立候補しちゃおうかな?
美雨ちゃんってどんな男の人がタイプなの? 」
さらっと彼氏に立候補しちゃおうかなんて
言ってしまう菅原くんに思わず照れてしまう
美容師さんだから女性慣れしてるんだろうな
「 好きなタイプ …
私は優しくて真面目な人が好きですっ!
あとは笑顔が可愛い人なんかも良いです 」
「 優しくて真面目かあ
じゃあやっぱり彼氏は俺でもいいべ!
なんなら笑顔だってこんなに可愛いしな 」
鏡越しに爽やかな笑顔を振りまく菅原くん
真面目ならもっと慎重な様な気もするけど …
でもこの笑顔に惑わされてしまいそうになる
「 菅原くんはどんな人がタイプですか? 」
「 俺の好きなタイプ?
ご飯を美味しそうに食べる頑張り屋さん 」
それって私の事じゃないのかと思うと
だからどんな風な反応をしたら良いか困った
「 困ってる美雨ちゃんも可愛い 」
「 もう … からかわないで下さいよ … 」
彼まるで悪戯っ子の子供みたいに笑っている
やっぱりからかわれているのかと確信した
「 少し時間置くね 」
菅原くんはどこかへと行ってしまって
私は1人で髪の毛が染まるのを待って居た