第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
「 陽葵ちゃん、ただいま 」
「 あ!もしかして新しい子ですか? 」
「 そうだよ
陽葵ちゃん今日からこの子の指導宜しくね
彼女は柴崎陽葵ちゃんでこの仕事は3年目 」
「 は … 初めまして!
美雨です!宜しくお願いしますっ! 」
「 これから宜しくね、美雨ちゃん! 」
にこやかに微笑む彼女は天使の様に見えた
メイド服がこんなに似合う人居るんだなあ
ってまさか!?私も着ないといけないの?
こんな寸胴体型に似合うはずがないのに …
「 陽葵ちゃん
彼女をまず自分の部屋に案内してあげて
制服も部屋に用意してるから着替えてね?
ついでにこれも一緒に部屋に持って行って!
あと美雨ちゃんの化粧を直してあげて?
じゃ、俺は一旦部屋に戻るから宜しくねえ 」
及川さんは紙袋を陽葵ちゃんに預けると
自分はさっさと廊下を歩いて行ってしまった
「 じゃあ行きましょうか?
美雨ちゃんのお部屋すごく可愛らしいの!
徹くんって趣味良いから絶対に気にいるよ 」
長い廊下を抜けるとリビングが広がっていた
これはもう一体何が何だか分からない …
畳何畳分あるんですかって聞きたくなる
確かにこの広さを1人で掃除するのは大変か
リビングには長いダイニングテーブルがある
そしてやたら大きいソファーに大画面テレビ
なんならもうこの部屋だけで生活出来そうだ
リビングの扉から右側と左側に向かって
階段があり2階へと繋がる作りになっている
「 この2つ階段で担当を分けるの
美雨ちゃんは自室が西側にあるから西側担当
私は東側に自室があるから東側担当だよ
東側のお部屋には今は4人住んでるから 」
「 4人?
この家に住んでるのは及川さん1人じゃ?
それともご家族と一緒に住まれていて … 」
「 あれれ
徹くんから何も聞いてなかったんだね
この家は徹くんがお友達と住んでるんだよ
今流行りのルームシェアってやつだね!
ちなみに住んでいるのは全員男性なんだよ
私達含めて全員合わせて11人居るかな? 」
他に住んでいる人が居て全員男性 …
男性経験皆無の私が9人の男性と暮らすのか
家事手伝いなんて余裕だと思っていたが
どうやら雲行きが怪しくなって来てしまった