第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
今日は菅原さんと岩泉さんがお休みで
他の住人達は仕事へと向かっていった
痩せると言っても何からすれば良いの?
とりあえず仕事中はテキパキ動く事にして
私は家の中をバタバタと走り回っていた
「 えらいテキパキ動くんだな 」
リビングの床を拭いていると背後から突然
声がして振り返ると岩泉くんが立っていた
「 あ … はい …
ちょっとでも運動しようと思って … 」
「 今朝の事を気にしてんのか? 」
「 ダイエットしようと思って。
でも何から始めたら良いか分からなくて …
とりあえず必死に動いてみようかなって 」
食べる事と寝る事がとても大好きな私は
運動なんかとは無縁な生活を送っていた
とりあえず動いていれば痩せるだろうと
思いガムシャラに動いているわけなのだが
「 ただ動けば良い訳じゃねぇ
効率的に痩せるなら筋肉つけて脂肪を燃やす
これが1番効率的で体型が戻りにくいんだ 」
そう言えば忘れていたけど彼の仕事って
ジムのトレーナーさんだったんだっけ?
だから専門的な知識も豊富なんだろうな
「 筋トレ、俺が毎晩付き合ってやろうか? 」
「 え?!良いんですか?
でもお仕事で疲れてるのに申し訳無いです 」
「 じゃあ週2回でどうだ?
火曜日と土曜日の夜は筋トレをするとか 」
「 ご迷惑じゃなければ … 」
「 迷惑なんかじゃねぇよ
美雨が黒尾達にいじめられてんの可哀想だし
綺麗なくびれでも作って見返してやろうぜ 」
岩泉くんは本当に優しくて頼りになる人だ
嫌な顔なんて一切しないし寧ろ何か楽しそう
私も頑張らなくてはと心で固い決意をする
「 ランニング出来りゃいいんだけどな 」
「 ランニング … ですか? 」
「 筋トレした後にランニングすると
脂肪が燃えやすいし痩せやすいんだよ
でも俺は帰りの時間がバラバラだから
付き合ってやれねぇしでも女1人は危ねぇ 」
「 わ … 私なら誰も襲いはしませんよ! 」
「 んなこたねぇだろうが!
木兎に頼んで付き合ってもらえば?
あいつ毎日走りに行ってるし付いて行け!
走り方のフォームくらい教えてくれんだろ 」
ただ走るだけなのにフォームとかあるのか
木兎くんはプロのバレーボール選手だから
日々のトレーニングは欠かさずにやっている
そうか、それに便乗してみるのも確かに有り
