第1章 憂鬱王子はキスをくれない.

ＡＭ 7：００

起床した住人達がリビングに降りて来始めた
朝はそれぞれ忙しいのでバラバラに食事する
時間にルーズな人はなかなか起きては来ない
この家だと木兎くんと侑くんはそうであるが
木兎くんは今遠征で居ないから侑くんだけが
まだリビングに降りて来て居ない状態だった

「 今日は何時頃 帰られますか？ 」

「 … いつも通り 」

黒尾さんは朝が弱いみたいで毎朝 機嫌が悪い
残り２人も私が聞く前にいつも通りと答える
メモを取り席に座ると菅原くんが私に言った

「 美雨ちゃん、首に何かついてるべ！ 」

「 首ですか？何がついてますか？ 」

「 それ … クソカワの仕業だろ
見えるとこにキスマーク付けてんじゃねぇ 」

私の首にキスマークが付いている？！
そう言えば昨日及川さんが何かしていたかも
なんとなく身に覚えがあり恥ずかしくなった

「 肌が白いから付けちゃったあ
それに美雨ちゃんがあまりにも可愛くてさ
昨日だって俺達は何回も肌を重ねたんだよ
多分きっと体の相性が凄く良いんだよねぇ 」

「 ヘラヘラすんじゃねぇよ
付ける場所くらい考えてやれボケが！
それに朝からそんな話すんじゃねぇ！ 」

まさに岩泉くんの仰る通りですよ、及川さん
及川さんはヘラヘラしながらごめんと言った
首なら辛うじて髪の毛で隠せるから良いか …
ぼんやりと考えながら味噌汁を啜っていたら
鋭い視線が送られている事に私は気がついた
何故か黒尾さんが凄く睨んでいるではないか

「 … 何でしょうか？ 」

「 何にもねぇよ 」

そんなに睨んでおいて何にもない事ないだろ
黒尾さんにそう言いたい気持ちではあるけど
不機嫌だし怒られたくないからスルーしとく

「 今日って木兎帰ってくるんだよな？ 」

澤村くんが急に思い出したかの様に言った
そうだった、確か今日遠征から帰ってくる筈
またきっと家の中が騒がしくなるんだろうな

「 木兎さん昼頃に帰ってくるそうです 」

「 赤葦は本当に木兎と仲が良いよな！ 」

「 いいえ
あの人が勝手に予定送り付けてくるんで
嫌でも頭の中に入ってしまうだけですよ 」

木兎くんは赤葦くんが本当に好きなんだな
彼もそれが別に嫌って訳ではない様である
実は木兎くんが帰って来るの嬉しいのかも