第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
晩ご飯を終え片付けを行い本日の業務終了
みんながお風呂を済ませたのを確認した後
私も手短にシャワーを済ませ部屋に戻った
そう言えば家計簿をまだつけていなかった
私はノートパソコンを開き教わった手順で
レシートを見ながらゆっくり打ち込んでいく
長いレシートと格闘しながらやっとの思いで
入力を終え保存ボタンを押すと異変が起きた
画面が固まったまま動かなくなってしまった
── 何これ?折角入力したのに動かない!
キーボードを押してもうんともすんとも …
これはもはや月島くんを頼るしかないのかな
また嫌味でも言われるのかと思うと憂鬱だ …
重い腰を渋々上げて彼の部屋へと向かった
── コンコンッ
部屋をノックすると扉越しに返事が聞こえた
ゆっくり扉が開くと月島くんが立っていた
私の顔を見るなり露骨に怠そうな顔をした
「 何か用?忙しいんですケド 」
「 お願いがありまして …
パソコンが動かなくなってしまいました 」
その言葉を聞いた後で彼は深い溜息を吐いた
そんなに嫌そうな顔しなくても良いじゃん …
そう思いつつお願いしますと深く頭を下げた
私の部屋へと案内してパソコンを見てもらう
「 変なボタン押したデショ 」
「 急に固まったんです
私はにも触ったりなんかしてなくて … ! 」
「 気が散るから黙って 」
月島くんは慣れた手付きでパソコンを触る
私は邪魔しない様に口を噤んで待っていた
真剣な横顔が普段と違って凛々しく見えた
仕事中はきっとこんな顔してるんだろうな