• テキストサイズ

憂鬱王子はキスをくれない. / ハイキュー

第1章 憂鬱王子はキスをくれない.



すると私の隣に座っている黒尾さんが口を開く
私はなんだかとてつもなく嫌な予感がしていた
── この人は一体何を言うつもりなの?

「 つかさあ
クビになるってちゃんと仕事してたのかよ
今時クビになる方が珍しいくらいなのによ 」

「 確かに
20歳にもなって貯金が全く無いのも
僕はどうなんだろうって思いますケド 」

「 俺でも貯金してるくらいだぞ!! 」

「 計画性が無かったって所ですかね 」

東側の住人達とは違い西側の住人の言葉は
揃って辛辣かつ厳しい言葉ばかりだった
確かに現実的といえば現実的ではあるけれど
この人達には優しさってものが無いのかね …

岩泉くんが私の事を心配していた理由が
なんとなく分かってしまったかもしれない
何か西側の住人は性格がキツイ人ばっかりだ
東と西でどうしてこんなにも差があるものか

それは一番自分がよく分かっています
分かっちゃいるけど一斉に責めなくたって!
私が苦笑いをしながら肩を落としていると
黒尾さんがヘラヘラしながら再び口を開いた

「 精々この仕事もクビになんない様になァ 」

嗚呼ダメだ … 私は黒尾鉄朗が嫌いだ!!
正論だって事は充分に理解しているけれど
デリカシーが無い男は大嫌いだ──!!

「 黒尾さんそんなに虐めたら
新人さんが可哀想じゃないですかァア─ 」

「 まあまあ!仕方無いじゃないか
貯金なんて今からいくらでも出来るんだし 」

月島くん それはきっと本心じゃないよね?
にしても本当に澤村さんナイスフォロー!
みんなも彼の事を見習えば良いのにね …
彼らの言葉に内心とても苛ついていた私は
ワインをひたすら黙ったまま飲み続けていた

赤ワイン5杯目を早々に飲み干した頃に
胃全体がぽっと暖かくなって心地よくなった
酒に酔うというのは体が夢を見る事と同じだ
思考回路はもはや崩れて視界が薄れていった

/ 142ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp