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憂鬱王子はキスをくれない. / ハイキュー

第1章 憂鬱王子はキスをくれない.



── グルルルッ

この空腹に正常な思考回路が破壊されている
危険なのかもしれないが兎に角お腹が空いた
こんなイケメンになら何されても良いか …
もうどうにでもなれ!私は空腹でヤケクソだ

王子様の後をついて行くとあるお店に到着
女の子が好みそうなお洒落なカフェバー …
ちょっと待て、こんな格好じゃ浮くんじゃ?

自分の身につけている服を確認してみる
グレーのパーカーにダボダボのパンツ
なんと女子力の低い格好なんだろうか …
私は服に興味が全くと言っていいほど無い
着れれば良いし動きやすい楽な格好が好き

こんなお洒落なお店とは無縁だったから
そんなに気にした事なんてなかったけれど
流石に身が引ける思いに駆られてしまった

いんや!私はただご飯を食べたいだけなのだ
周りの目なんかに負けず食事にありつくのだ
気持ちを強く持ちお店の中へ突入して行く

「 及川社長、いらっしゃいませ 」

「 奥の席を空けてもらえるかな?
それとこの子に何か適当に何品か出して?
俺はもう食事はしないからコーヒー頂戴 」

王子様は慣れた様子で店員と話している
彼はこのカフェバーにはよく来るのかな?
そうだよね、すごく店に馴染んでるもんね
女の子の好みを熟知してそうなタイプだ
デートとかでよく使うお店なんだろうなあ
ぼんやり考えながら彼の向かい側に座る
私の真正面にこんなイケメンが … 緊張する。

「 まずお名前は何て言うのかな? 」

「 逢坂美雨と申します … 」

「 へえ、美雨ちゃんって言うんだあ
それで?何で何日も食事してないのかな? 」

「 実は会社をクビになってしまい …
住んでいた社員寮を追い出されてしまって
仕事も家も同時に失ってしまったんです …
お恥ずかしい話なんですが貯金も無くて … 」

本当に心底情けない気持ちでいっぱいだ
人に話すなんて何とも恥ずかしい限りだが
無償で食事をご馳走してもらうのだから
理由くらいはきちんと話すべきだと思った

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