第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
「 何って新人指導してたんだよ──!
岩ちゃん空気読んで邪魔しないでよねっ
それとも俺たちの仲間に入りたかったの? 」
「 ボケが!
誰がお前がヤッてんの見なきゃなんねぇんだ
それならまだ1人でした方がマシだからな?
まだそんなことする時間じゃねぇだろうが!
それにヤるなら夜にてめぇの部屋でヤレよ 」
「 岩ちゃんったら
自分がメイドにご奉仕してくださいって
言う勇気ないからって僻まないでよねえ 」
「 お前は黙れ、うんこ野郎が 」
及川さんがそう言うと岩泉くんは更に苛つき
再び漫画で彼の頭をバシッと叩いている
私にはこの2人が仲が良いなんて思えない
彼らのやり取りをただ呆然と見つめていたら
岩泉くんが私の事を心配そうに見ながら言う
「 美雨、大丈夫だったか?
こいつには捕まらない様に気をつけろよ 」
「 あ … ありがとうございますっ 」
「 ちょっと!俺はご主人様なんだからねっ 」
岩泉くんの登場に救われ処女を死守出来た
私はホッと胸を撫で下ろし乱れた服を整える
このまま彼が現れなかったら襲われていた
それはそれで仕方がない事なのかもしれない
でもやっぱり初めては好きな人とが良いなあ
くだらないって言われてもそれが理想だ
及川さんと岩泉くんは言い合いを続けていた
岩泉くんはご奉仕頼んだりしない人なんだな
硬派で優しくて大切にしてくれそうなタイプ
彼氏にするならこんな人が良いんだろうなあ
2人が小競り合う中でそんな妄想をしていた