第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
私はこの4人の男性のお世話をするのか
みんな優しくて良い人だといいんだけど …
にしても陽葵ちゃんの言っていた通りで
住人の男性は揃って全員イケメンである
とんでもない所に来てしまったかも …
プロフィールブックに全て目を通した後
広いリビングでぼんやりと過ごしていると
背後から聞き慣れた声が私を呼んでいる
振り返ると及川さんの顔が目の前にあった
「 うわあああっ──! 」
驚きのあまり思わず突然叫んでしまった
彼の顔が近すぎて心臓バクバクである
キスするまであと数センチの距離だった
「 ごめん、驚いた?
化粧綺麗にしてもらえてバッチリだね 」
「 はい … 綺麗にしてもらいました 」
「 可愛くなったじゃん 」
及川さんは優しく微笑みながらそう言うと
隣に座ったかと思えば私を突然押し倒した
そして私の首筋に顔を埋めて体を弄り始めた
── 何?!今私の身に何が起きている?!
「 ちょっと … 及川さん?! 」
私の呼びかけに及川さんは答えようとはせず
手は太ももを撫で回しながら呼吸は荒くなる
男性の体は覆い被さるとこんなに重たいのか
体を動かして抵抗しようとしても無駄の様だ
── どうしよう?このままじゃ私の処女が!
頭の中が混乱してパニック状態だったけれど
抵抗しても無駄である事は既に分かっている
私が腹をくくりギュッと強く瞼を閉じた時
バシッと大きな音がして彼の動きが止まった
「 痛ったあ──! 」
「 こんな所で美雨に何してやがる 」
瞑った瞼をゆっくりと開けると岩泉くんが
漫画を片手に不機嫌そうに見下ろしていた
及川さんはゆっくりと体を起こして離れた