第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
── それから1ヶ月経ったある日の出来事
「 美雨ちゃん、痩せたし雰囲気変わったな! 」
朝ご飯を食べている時に澤村がふと口にした
横目でチラリと隣に居るおチビを見てみると
確かにスリムになっている様な気がした。
嫌いな俺に罵られた事が原動力になったか?
「 てか胸がデカくなったよな?!
なんか美雨が一気にエロくなった気がすんの 」
木兎が目をギラつかせながらおチビを見てた
今まで男に触られた事が無かっただろうから
ホルモンが刺激されてデカくなったって所だ
て言うかこいつを調教したのは俺ですけど。
この間も赤葦と3Pなんかもヤッた訳だし?
まあ、おチビにはまあまあキレられたけど
「 頑張って筋トレしたからだな 」
「 毎日頑張りましたよね、本当に。」
おチビは褒められて嬉しそうに顔を緩めた
岩泉や赤葦がおチビの事を褒めている中で
俺は敢えて一切会話には入ろうとしなかった
なんとなく、すぐに褒める気にはなんなくて
「 そう言えば!
クロりんのモデルデビューは今日だっけ? 」
「 だな 」
「 帰って来たら写真見せるね! 」
今日は前に話してた陽葵との約束があった
ブライダルのパンフレットの撮影日である
今日は及川がメイドにオフを与えたそうだ
木兎がガッツポーズをしながら俺に言った
「 黒尾!お前ちゃんとして来いよ?! 」
「 分かってる
俺が格好良くキメてきてやるって! 」
「 鉄くんは背が高いからスーツ似合うよ! 」
陽葵は嬉しそうに笑いながらはにかんでいる
これが最初で最後だし今日だけ願いを叶える
だから頼むからもうこれで満足してくれよ?
そう思いながら彼女の笑う顔を瞳に映した。