第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
おチビは俺に連れられて部屋の中へと入った
今朝来たばかりなのにおチビは周りを見渡し
何故か不自然なくらいキョロキョロしていた
「 昨日の事 まだ根に持ってんですかァ 」
おチビがまだ怒っているなんて分かっていた
ヘラヘラしている俺を見て苛ついてんのも。
なのに平然を必死で装っておチビは言った
「 別に … ただし
色気が無いだとか散々私に言っておいて
結局やる事はやるんだなと呆れています」
「 だからタイプじゃねぇからって
セックス出来ない訳じゃねぇからな?
気持ち良い事には変わりねぇんだし 」
── こいつ意外と根に持つタイプなんだ
経験が無いから男に幻想抱きすぎなんじゃ …
大野さんもこいつも似ているような気がする
恋愛ドラマかなんかの見過ぎなんじゃねえ?
おチビは軽蔑の目で俺の事を見つめていたが
そんなの御構い無しに彼女の腕を引っ張り
勢いよくベッドに向かいおチビを放り投げた
「 ちょっと … !何するんですかっ?! 」
俺はおチビの上に勢い良く覆いかぶさると
ニヤニヤ笑いながら見下ろしながら言った
「 教えてやろうと思ってさ 」
「 教えるって何を教えるつもりですか? 」
「 今朝言ってただろ?
初めてのセックスが気持ちよかったのか
痛かったのかとか何にも覚えてねぇって
だから俺がこれからお前に教えてやるよ
貴重な初体験を奪ったお詫びってやつ? 」
そうこれが俺が考えたおチビへのお詫びだ
ただ普通にこいつに謝るとか面白くねえし。
俺が言い放った言葉を聞いておチビの顔は
どんどん青ざめていき不快感を露わにした
が、俺は無視して彼女の首筋に顔を埋めた
最初は抵抗していたものの舌が這い始めると
おチビの体の力はみるみると抜けていった
「 んっ … 」
昨日まで処女だったくせに刺激を与えれば
簡単に反応している姿はどことなくエロい
俺ははゆっくりと顔を上げ彼女を見つめて
結んだままの唇にかすかな笑いを浮かべた
「 服脱げよ 」
「 そ … そんなの絶対に嫌ですっ! 」
決して自分から服を脱ぎたがらないおチビ
脱がないなら自分が脱がせるまでだと思い
無理矢理にでも服を剥ぎ取って裸にしていく
俺の脱いだ服と彼女の脱いだ服が入り混じり
床にデタラメに絡まる様に散らばっていく