第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
男としてモテるのは悪い事ではないと思う
ただ贅沢だと思われてしまうかもしれないが
俺はそうゆうのには飽き飽きして居たのだ
想われる事はありがたい事ではあると思うが
あいつと別れてから恋愛する気分になれない
未練があるわけじゃねえけどそんなところだ
だからか上辺の付き合いが楽だったりもする
家に着くと俺の好きな香ばしい香りがした
もしかして今日の飯は俺の好物のアレか?
「 ただいま 」
「 おかえりなさい、鉄くん 」
「 … おかえりなさい 」
陽葵は俺の姿を見るなり満面の笑みを浮かべ
おチビは不機嫌なのかそっけない態度だった
こいつはまだ昨日の事を根に持っている様だ
「 今日の飯ってもしかして秋刀魚? 」
「 うん!鉄くんの好物の秋刀魚だよ 」
「 うぇ─い!着替えてくる 」
自分の好物が晩飯だと分かり俺は上機嫌だ
鼻歌を歌いながら部屋着へと早々に着替え
飯を食う為再びリビングへと降りて行った
「 やっぱり秋刀魚が1番うめえよな 」
「 これ食いにくいから嫌いやねん 」
「 お前はガキかよ 」
「 黒尾くんってジジ臭いと思わへん? 」
俺と宮が小競り合いを繰り広げていたのだが
全員がスルーしながら晩ご飯を食べていた
今日は五月蝿い木兎も及川も居ないからか
リビングはいつもよりやけに静かに感じた
周りを見渡すと隣に座っているおチビが
今にも寝てしまいそうな顔をしながらも
口へとご飯を運んでいる姿が目に入った
疲労困憊って顔に書いているみたいである
「 飯は目開けて食えよ 」
「 ちゃんと開いてますから大丈夫です 」
俺がおチビの事をからかう様に言ってみると
フンッと俺から視線を外して味噌汁を啜る
やっぱりこいつまだ怒ってるんだと確信する
むしろ俺に察しろと言わんばかりの態度だ
「 にしてもやっぱり静かだよな
あいつらが五月蝿いって事を再確認するな 」
岩泉が周りを見ながら笑顔でそう言うと
みんなは確かにと共感しながら頷いていた
あいつらが居ると確かに五月蝿いんだけど
居ないなら居ないで少し賑やかさに欠ける