第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
リビングを後にし髪の毛をセットする為に
俺は足早に目的地のバスルームへと向かった
異様に軽いバスルームの扉を勢い良く開ける
するとバスタオルを体に巻きつけたおチビ
硬直状態で突っ立っていたが何も気にせずに
鏡の前に立ち鏡越しのおチビに向かって一言
「 すっぴんだと余計に小学生かよ 」
「 ちょっと!出てって下さいよ! 」
からかいながら言うとおチビはムスッとして
俺の体を洗面所から押し出そうとしてくる
だがしかし力に差があり俺の体は一切動かず
おチビは諦め再びムスッとした顔を浮かべた
「 髪の毛くらいはいじらせろ 」
「 そんな髪セットしても一緒でしょ?! 」
「 あ?!お前 今なんつった?! 」
俺のこの髪の毛をセットしても一緒だと?
メイドのくせにすげえ生意気な事言うんだ?
俺はおチビを鋭い目つきで睨みつけながら
ジワリジワリと壁の方へと追いやっていく
不機嫌な顔をおチビの顔にゆっくり近づける
するとおチビはオドオドしながら俺に尋ねた
「 あのっ … 伺いますが
私と黒尾さんはキスもしたんですか? 」
その突拍子も無い質問に俺の動きは止まった
こんなよく分からない確認する奴いんのかよ
不思議に思いながらも俺はおチビから離れた
「 俺はメイドとはキスしねぇ主義だから 」
その言葉を聞いて安心したかの様な顔をした
多分俺とはキスしたくなかったんだろうけど
それはこっちからもお断りなんですけどねえ
そんな事を思って苦笑いしその場から去った