第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
「 セックスなんてなんて事ねぇだろ 」
俺の言葉を聞いてムッとした表情を浮かべた
なんでこういちいち怒ったりするのかね …
朝からめんどくせえ女だなあと思っていた
「 … なんて事ないなんて無いですからっ!
私は … 私の初めての相手が貴方なんて!!
最低最悪ですよ!一体どうしてくれるの? 」
そう言われてみれば思い当たる節があった
だからと言って罪悪感などは生まれないが
「 だから血が出たのか … 納得
ってか初めてだったからってだから何なの?
いいじゃん何も減るもんじゃねぇんだしさ 」
「 貴方にはそうでも私は違うのっ!
初めてだったのに痛いとか気持ち良いとか
何にも覚えてないし目が覚めたら喪失なんて
しかも相手がデリカシーがない人なんて!
だいたい人の事色気無いって言ってたのに 」
「 色気ねぇからってヤれねぇ訳じゃねぇの 」
男なんて穴があれば大抵誰とでもヤレるもの
そりゃ色気がありゃいいけど男はそんなもん
そもそも初めてってそんな特別なもんなの?
「 なあ──黒尾っ!
キャリーケース貸してくんねっ?!」
突然 部屋の扉が勢い良く開いたかと思えば
隣の部屋の木兎が俺達の前に姿を現したが
俺達はまだ裸のままベッドの上に座っていた
「 ギャヤァ──アァアァ!!! 」
再びおチビの叫び声が部屋の中に響き渡る
顔を真っ赤にしながらシーツで顔を隠した
俺は呆れた顔をしながら木兎に注意を促す
「 お前はノックくらいしろよな 」
「 黒尾は早速美雨に手出したのかよ! 」
「 溜まってたし近くにおチビが居たから 」
俺はゆっくりとベッドから起き上がると
散らばった服を拾いあげ静かに着替え始めた
おチビは何故か挙動不審にオドオドしている
「 ちょっと … 服取ってもらえますか? 」
木兎の足元を指差していたので見てみると
おチビの下着や服が散らばっていたので
拾い上げ彼女の方へとフワリと投げつけた
「 てか2人共まだ寝てたんだな 」
「 え?今何時だよ 」
「 今は7時半だけど? 」
「 ええぇえ──?!寝坊しちゃった!
全部、黒尾さんのせいなんですからね?! 」
「 俺のせいにすんな 」
おチビはバタバタと慌ただしく出て行った
木兎も勝手にキャリーケースを拝借すると
嬉しそうにしながらすぐに部屋を出て行った
