第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
「 黒尾は美雨ちゃんを苛めたから
罰として彼女を部屋まで運んであげたら?」
澤村の言葉に飲んでいたワインを吹き出した
よりにもよってどうしてそうなるんだよ …
苛めたって正論言っただけなんじゃねえの?
納得がいかず首を激しく横に振って反論する
「 何でそうなるんだよ
確かに今日の俺は機嫌良くねえけど
あいつを苛めた訳じゃねえし正論だろ?! 」
「 そうだね
女の子を苛めたりしちゃダメなんだから
クロりんが美雨ちゃんを部屋まで運んで─! 」
苛めたって言うならば俺以外にも居るはずだ
俺が周りを見渡して居ると何かを察したのか
ツッキーと赤葦は部屋へと戻ろうとしていた
「 おい!こら!お前らちょっと待て 」
「「 僕らはお先に失礼しま─す 」」
あいつらは特に察しが良いから逃げ足が速い
木兎は酔っ払ってるし押し付けるのは不可能
どうして俺がこいつの事を部屋までわざわざ
運ばなくちゃいけないんだよ、と睨みつけた
「 にしても黒尾は何で機嫌悪かったんだ? 」
菅原と及川が首を傾げながら俺の方を見た
ご飯がお肉だったから不満だったんだよ!
と及川がふざけながら言っていたが不正解だ
「 会社でちょっと色々あっただけ 」
「 へえ そりゃ大変だったね
でも女の子に当たったりしちゃダメだよ─
クロりん、美雨ちゃん部屋に運んでおいてね
階段上がって1番手前の部屋だからねえ─ 」
深いため息をつき寝ているおチビを見下ろす
何で俺が世話なんてしないといけないんだよ
お酒と眠っているせいで重くなっている体を
抱き上げて俺は階段をゆっくり上がっていく
「 クロりん、優しく運んであげてね─ 」
「 はいはい 」
運びながらおチビの方を見下ろしてみると
火照った頬、そしてメイド服で意識は無い
AVなんかでありそうなシュチュエーション
数日間ヤっていなかった俺は良い事を考えた
おチビの部屋を通り抜けて自室へと向かった