第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
及川は一切動じず爽やかな笑顔を浮かべて
まるで俺を諭す様な優しい口ぶりで言った
「 クロりん!そんなに怒んないでよ
こんな子ほど意外と化けるもんなんだから!
それに現に出会った時より可愛いくなったし
これからの美雨ちゃんの成長が楽しみだね! 」
意外と化けるかもしんねえけど見込み0だろ
どっからどう見ても小学生にしか見えねえし
こんなにエロさのかけらもない女は初めてだ
陽葵が如何に女らしいかを再確認した瞬間だ
「 クロりんって呼ぶな
このハンバーグはおチビが作ったのか? 」
一瞬おチビって私の事を言ってるんですか?
みたいな顔をしながらキョトンとしてるけど
どう考えたってお前しか該当者居ねえだろ …
「 いえ … 味付けは陽葵ちゃんが。
あのっ!私は美雨でおチビじゃありません 」
「 陽葵が味付けしたなら大丈夫か。
形が歪っうだけで不味そうに見えんだな!
チビなんだからおチビだ 文句あんのか? 」
「 … いいえ 」
若干不服そうにしながらも小さな声で答えた
すると五月蝿い奴がリビングへとやって来た
「 今日は肉だああ!にっくにっく── っ 」
「 全員揃ったし食べよっか!
今日は美雨ちゃんの歓迎会って事にして
久しぶりにワインでも開けちゃいますか! 」
木兎が歌う自作の肉の歌を聞いて苦笑いをし
いつも座っている席に重たい腰を下ろした
及川がワインを開けるなんて言い出したので
グラスが回ってきて中に赤ワインが注がれた
「 美雨ちゃん、ようこそ!乾杯── っ! 」
及川はワインを選ぶセンスだけはあると思う
いつもハズレがないのと何より俺好みの味だ
ワインをグイッと一気に飲み干してしまうと
陽葵が慌てて再びグラスに赤ワインを注いだ
「 美雨ちゃんは赤ワイン苦手だった? 」
陽葵がおチビにそう尋ねる声が聞こえたので
チラリと視線をやると飲むのに躊躇していた
多分この顔は飲んだ事がない奴がする顔だな
「 苦手と言うか … 飲んだ事がなくて 」
「 飲めないなら私が飲んであげようか? 」
「 これだからおこちゃまは … 」
やっぱり俺の想像通りのおこちゃま具合で
呆れながら揶揄うとムスッとした顔をした
俺は涼しい顔をしたままワインを口に運んだ