第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
「 及川さんって感鋭そうですもんね
今の所 私達が実は付き合っていないのを
見破ったのって及川さんくらいですし … 」
まさか私達が付き合うなんて意外だと思う
ただしみんなは私達の関係が偽物だとは
裏があるとは気付いてはいないみたいだ
だからそれを一瞬で見抜いた彼は凄いのだ
「 クロりんとは付き合い長いしから
大体何考えてるか分かっちゃうんだよねっ
それに普通彼女なら唇にキスするでしょ?
頬に軽いキスなんてクロりんらしくないし 」
黒尾さんはメイドにキスしない主義の人
私達は実際に付き合ってすらいないのだから
わざわざ唇にキスしたりなんてする筈がない
彼があの時ふいに私の頬へとキスをした事が
付き合っていないとゆう証拠になったようだ
「 キス … でバレちゃった訳ですか … 」
「 一瞬だけ信じたけど!
どう考えても展開が早すぎると思ったし
あのキスで何かあるって感じたんだよね
見せつけたつもりが墓穴掘っちゃったね 」
黒尾さんも自分が私にしたキスが原因で
及川さんにバレてるなんて思ってないだろう
詰めが甘いとはこの様な時に言うんだろうな
「 とりあえず …
陽葵ちゃんは暫くそっとしておこうか。
美雨ちゃんも本当に嫌なら早く別れなよ?! 」
「 はい … そうします 」
「 クロりんを盛大に振ってやってよ! 」
及川さんは楽しそうにケラケラ笑っている
黒尾さんと及川さんって本当に仲良いのか?
私は苦笑いしながらそのまま首を縦に降った