第1章 憂鬱王子はキスをくれない.
「 私にはよく分かりません … 」
体の相性くらいは確かに悪くはないと思う
ただ性格の相性が良いとは到底思えないのだ
だからお互いに恋愛感情なんて抱く筈がない
それだけは今現在分かっている事なのである
「 陽葵ちゃんはどうするだろうね? 」
「 私 … 彼女の気持ちを知ってたんです
本人の口からそれを聞いてしまいました
なのに … 裏切ってしまった様な気分で … 」
「 そうだったんだ
まあでも本当に付き合ってる訳じゃないし
もし何かあればクロりんが庇ってくれるさ 」
もしこれで彼女と揉める様な事があれば
私はきっとあっさり本当のことを話すだろう
その時は彼女にたくさん謝るしかないかもな
「 クロりんも考えただろうね
断ったら気まずくなって居づらくなるから。
一緒に住んでるとこうゆう時に困るんだよ 」
「 今までもありましたか? 」
「 まあ無くはないよね。
そうなるとメイドが辞める確率が高いんだよ
上手くいけば良いけどそうじゃないと … 」
確かに上手くいけば毎日会えて嬉しいけど
そうじゃなかったら逆に毎日辛いだけかも
だったら顔合わせたくないから辞めるって
なっても決しておかしい話なんかじゃない
「 男女だから恋愛沙汰はありますよね …
及川さん自身はその経験はあるんですか? 」
「 俺は無いよ
確かにちゃっかりやる事はやるけど
自分の雇ったメイドを彼女にはしないよ
例え好きになられてもはぐらかしちゃうし 」
確かに及川さんって口が上手そうだから
そうゆうの上手い事回避してそうである
男女関係ってややこしくて難しいんだなあ
私は頭を抱え込みながら考え込んでいた